野党議員が入手したという文書が波紋を広げています。安倍政権の時代に作られた、総務省の内部文書とされますが、そこには、サンデーモーニングの名前も記されていました。番組のMC関口宏は、5日の放送で「番組の姿勢を淡々と貫いてゆく」とコメントしました。
立憲民主党の小西議員が入手して、公表した文書。2014年から15年にかけ、当時の安倍政権で、総理補佐官が主導して、「放送法の『政治的公平性』について、解釈を見直すよう求める動きがあった」という内容が記されています。
立憲民主党 小西洋之参院議員(2日・参院議員会館)
「放送によって届けられる政府の活動、あるいは国会の活動という民主主義の基礎が、いま大きく脅かされている」
放送法4条の「政治的公平性」について、政府は「1つの番組ではなく、放送局の番組全体を見て判断する」と、解釈しています。
ただ2015年の5月、当時の高市総務大臣は、国論を二分するような政治課題については、極端な場合、「1つの番組でも、『政治的公平性に反する』と判断する」という趣旨の、国会答弁をしていました。
小西議員が公表した文書によると、当時の礒崎総理補佐官が、「サンデーモーニング」を引き合いに出して、「1つの番組でも、おかしい場合がある」として、総務省に対して、解釈の見直しを求めていました。
文書によると、安倍総理は、「現在の番組にはおかしいものもあり、こうした現状は正すべき」と発言したとされています。
文書では、礒崎氏と総務省の間でのやりとりが記録され、高市大臣の国会答弁へとつながる経緯が記されています。その中には「高市大臣と総理の電話会談の結果」などとする記述もありましたが、高市氏は…。
高市早苗 経済安保担当大臣(3日・参院予算委)「文書の信憑性について私は大いに疑問を持っております」「全くそれはねつ造文書だと私は考えております」
小西洋之議員「仮にこれがねつ造の文書でなければ、大臣・議員を辞職するということでよろしいですね」
高市大臣「結構ですよ」
一方、松本総務大臣は、文書の内容について、「精査が必要」という認識を示した上で、放送法の「政治的公平性」については、「番組全体を見て判断する」という従来の解釈は変更していない、と説明しました。
また、礒崎元補佐官は、総務省と意見交換したことを認めた上で、「補充的説明をしてはどうかと意見した」とツイッターに投稿しています。
【スタジオ】
関口宏:なんでこの話が今また出てきたのか、ちょっと私にはよく分かりませんが、松原さんどう見ます?
松原耕二:小西議員が入手したという内部文書、いま信ぴょう性がどうかという議論も出ているから、文書自体の評価は難しいが、安倍政権下で番組の政治的公平性をめぐって、政権側からメディア側にいろんな働きかけがあったというのはいろいろ報じられているので、少なくとも当時何があったのか、政治の側がちゃんと説明する必要があると思う。
いろんなことがまだはっきりしない状況の中で、一つだけぜひ確認しておきたいのは、放送法という法律がなぜできたのか、戦後どんな精神でできたのか。これがどうも曖昧になっている。
放送法というのは戦時中にメディアが政府と一体になって戦争に突き進んだ、大本営発表をそのまま流してきた、戦前の反省から政治の介入を排除して放送局が自由に放送することを保障するものであると。これが放送法の本質であるという多くの専門家の見方もあるし、私自身もそう思っている。
だからそもそもの成り立ちというのをやはり忘れてはいけないし、何度も我々は立ち返るべきだと思うし、この精神を我々は忘れてはならないと思っています。
これをぜひ確認しておきたい。
関口宏:いろんなご意見はあると思いますが、やはり我々は我々のこの番組の姿勢を淡々と貫いていかなきゃいけないなと私は思っております。
(2023年3月5日放送サンデーモーニング)
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