ビットコインをはじめ、イーサリアムやライトコインなどが知られる仮想通貨(暗号通貨)。日本円やドルといった法定通貨に比べて価格の変動の幅が大きいという性質もあり、日本では主に投資目的で手に入れる人が多い印象ではあるが、「通貨」というだけあり、日々の生活の中で使える機会は着実に増えてきている。この記事では、そんな仮想通貨を日常生活の中で使うことのできる5つの方法について書きたい。
①公共料金の支払い
まずは生活のライフラインとも言える公共料金だ。2016年に電力の小売参入が自由化されたことから、仮想通貨の取引所「Coincheck」を運営するレジュプレスが、ビットコインで電気代を支払うことのできる「Coincheck でんき」のサービスを開始している。さらに2019年10月には「Coincheckガス」(東京ガスエリアの都市ガスの支払いに限られる)も始まった。
公共料金についてはクレジットカードでマイルを貯めるなど、付加価値を得る方法が様々提案されているが、Coincheckを使ってビットコインで支払いに乗り換えた場合、乗り換え前の料金から最大7%の割引、もしくは最大7%分(ガスは各3%分)のビットコインを付与するというプランになっておりお得感は大きい。
また海外に目を向けると、米アリゾナ州チャンドラー市では今年3月末から、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨による公共料金支払いの受け付けを開始した。こちらは決済大手PayPal(ペイパル)との提携にて実現したもの。
②オンラインカジノ
コロナ禍に自宅でできる楽しみとして、にわかに注目が高まったオンラインカジノ。その多くは、マルタやジブラルタルといった国・地域からのライセンスを得て運営される海外のカジノだが、仮想通貨でプレイできるオンラインカジノも数多く存在し、現在もその数を増やしている。
まだコロナ前のように完全に自由に海外旅行ができるようになったとはいえないが、ブラックジャック、バカラといったカジノの定番ゲームをプレイしながら、海外のカジノにいるような気分を味わうこともできてしまうのが楽しい。
またリアルマネーをベットし、勝てば賞金ももらえるという点で、無料のゲームアプリやソーシャルゲームとは違ったドキドキ感がある。
③旅行に行く
休暇で行く旅行の場合は「非日常」を味わえるのがその大きな楽しみの一つでもあるので「日常生活の中で」というテーマと矛盾してしまうかもしれないのだけれど、仮想通貨は旅行も予約できる。
大手旅行代理店HISでは「仮想通貨元年」と言われた2017年より、首都圏の30を超える店舗で、ビットコインによる決済の取り扱いを始めた。HISは国内外のパッケージツアーを数多く販売しているが、ハワイやローマ、グランドキャニオンといった旅行にビットコインで行けるなんて、ワクワクしないはずがない。
④学費の支払い
こちらはあいにく日本の話ではないのだけれど、スイスのルツェルン応用科学芸術大学( Lucerne University of Applied Sciences and Arts)が2017年より、ビットコインでの学費の支払いを受け付けている。
それ以前にもキプロスのニコシア大学、イギリスのカンブリア大学、ニューヨークのザ・キングス大学などが、仮想通貨による学費支払いを受け入れていたが、特に話題となったのは、アメリカの名門ビジネススクールをもつペンシルバニア大学だ。
アメリカのトップ私立大学8校による「アイビーリーグ」の一角をなすペンシルバニア大学であるが、1740年設立と歴史ある大学ながら、2021年秋に行われたブロックチェーンに関する短期コースの授業料について、ビットコイン、イーサリアム、USD Coin、3種類の仮想通貨による支払いを受け付けた。
ブロックチェーンについて学ぶのだから、実際に仮想通貨の支払いを受け付けるという大学側の姿勢は、机上の空論を超えた実用的な学びへの意気込みが感じられた。
日本の大学にはまだそういった動きはないようだが、仮想通貨による学費支払いがさらに普及した場合、日本での議論が活発化する可能性もある。もちろんこれらの大学に留学した場合は、仮想通貨での学費支払いがすぐに経験できる。
⑤アート作品を買う
日常生活で仮想通貨を使う方法の最後は、アート作品を買うこと。仮想通貨はその改ざんなどを防ぎ、信頼性を担保するためにブロックチェーン技術が用いられていることは知られている通りだ。このブロックチェーン技術は、同じように一意性が重要な価値をもつアート作品とも相性が良く、これを応用したデジタルアート作品はNFTアートと呼ばれる。
NFTアートを手に入れることのできるのは、OpenSea、SuperRareといったNFTプラットフォームが知られているが、仮想通貨取引所の中にもNFTアートを購入できるプラットフォームを整えているところがある。
またデジタル空間上のアート作品だけでなく、「Artory(アートリー)」というブロックチェーンを活用してアート作品の登記を行う会社も登場しており、伝統的なアート作品にも、ブロックチェーン技術が使われ始めている。
作品の真贋の議論がつきもののアート作品であるが、所有者の流れを明確に追うことのできる仮想通貨は、アート作品を手に入れるのに最適な通貨だと言えるだろう。