北海道の自治体が高級食材「キャビア」が採れるチョウザメの養殖に取り組んでいます。養殖に力を貸したのは、大手企業・ソフトバンクでした。
北海道の北部・美深町の山あいにあるビニールハウス。チョウザメを養殖しています。美深町は40年前に、湖へ300匹のチョウザメを放流しました。以来、町おこしとしてチョウザメの飼育に取り組んでいます。
3年前、初めて「キャビア」を販売しました。しかし、その量は5キロ(5匹分)だけでした。
■育成に時間がかかるチョウザメの養殖
「キャビアが採れるまで、メスは10年。オスと分かってから2~3年で出荷になります」(美深町総務課企画グループ 紺野 哲也係長)
チョウザメの養殖の難しさは育成に時間がかかること。オス・メスが判別するまでに3年。オスはチョウザメ料理になりますが、メスからキャビアを採るにはさらに7年後。チョウザメの腹を開けたらキャビアが入っていないこともあるそうです。
■ソフトバンクが課題解決に取り組み始めた
そんなチョウザメ養殖の「課題解決」に、ソフトバンクが参戦したのです。
「卵を持つまでに6~7年かかるので、シミュレーションが有効なんですよね。コンピューターの中の6~7年は一瞬ですから」(ソフトバンク アドバンスドテクノロジー推進室 石若 裕子担当部長)
ソフトバンクは、3年前から函館の北海道大学水産学部にラボを構え、AI技術を活用した「スマート養殖」の研究を進めています。
実は、チョウザメの生態は世界的にもあまり分かっていません。まずは、行動解析から着手しましたが、チョウザメがカメラに寄ってきてしまい断念。そこで「仮想のいけす」にリアルな魚群の動きやリアルな水中環境を再現して、AIに学習させるように工夫しました。
■ITを駆使して水中環境をCGで再現
実証実験では、AIは人間がカウントするよりも格段に速く、高い精度で魚の数を計測できました。さらに、個体を識別して異常な動きなどを見つけることを目指しています。
魚の数や状態を把握するだけではありません。世界で初めて「チョウザメ筋骨格モデル」も開発。
「骨や筋肉などの内部形態を、より正確な動きを再現しようと考えました」(北海道大学水産科学研究院)
■チョウザメの小さな筋肉までCGで再現
北海道大学の研究技術を生かして、ソフトバンクはチョウザメの小さな筋肉までCGで再現。完璧なバーチャルチョウザメを作り、バーチャル養殖をします。コンピューター上では餌の量や魚の密度など条件を変えて、何度でもシミュレーションできるのです。
■ソフトバンクのIT技術はほかの魚にも活用可能
シミュレーションで研究をスピードアップさせることで、飼育条件を改善したり、成長が早くたくさんキャビアを産む優良な個体を見つけたりすることが可能になると考えています。
「ソフトバンクによるAIやIoTでの研究結果は、ほかの魚にも応用可能です。愛媛県では、マダイの養殖での研究開発にも取り組んでいるので、今後は全国への広がりも期待できます」(日本経済新聞社 札幌支社 井田 正利記者)
「このようなITの技術を養殖業者さんに提供して、IP(知的財産)でビジネスができればと考えています。IT技術で養殖業を効率化して、経営が良くなることに貢献できればと思います」(ソフトバンク アドバンスドテクノロジー推進室 石若さん)
美深町、北海道大学、ソフトバンクは「連携協定」を締結。小さなまちの長年の夢の実現が、ITの力で加速しそうです。
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